-->
イラストレーターの間路さんへのインタビューも
いよいよ今回がラストです!
✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚
山下:普段から絵を描く際に大事にしていることはありますか?
間路:普段、メカやロボットを描いているのですが、
メカやロボットは乗る人が変わる時があります。
言ってみれば、魂が変わるわけです。
魂が変わったものを「誰が乗っているか、誰が動かしているか」
ということを表現する、ということを大事にしています。
たとえば、親が駅に車で迎えに来てくれる、という時。
駅のロータリーを回ってやってくる家の車の挙動で、
「あ、お父さんがきた」とか「今日はお母さんなんだ」と
気が付く瞬間があると思いますが、その感覚です。
「車」はロボットのように手足で感情表現ができないので、
一番難しいのですが、それを、一連の動きだけでなく、
「一枚の絵」で表現できるか、というのが「車」だけでなく
ロボットや物、キャラを描くうえでの一生の課題でもあります。
それはシチュエーションや感情でも変わって来るので、
感情が表しやすい「表情」が無くても伝わるように、ということで、
アニメーションの場合はそこに「生の魂」である「声」が
入るのですが、それとのシンクロ率が高まった映像の相乗効果は
果てしないものがありますので、それを体験してしまうと
抜け出せなくなります。笑
山下:乗る(動かす)人の違いを一枚の絵で表現する…
とても難しそうで私には出来そうにありません笑
では、座右の銘はありますか?
間路:「疑問を持つ者が先に進める」です。
もっと言うと、「疑問を持つ、疑問を持ったら、その疑問を
突き詰める為に行動する者が先に進める」ということです。
例えば、
「なぜ香川県でうどんが作られているの?」
「なぜ宍道湖でしじみが取れるの?」
「なぜお酒は透明なの?」
「なぜ神戸に港ができたの?」
「なぜ薩長同盟が倒幕できたの?」
等、疑問を持つ。
だいたいの人は「なんでやろ?」で終わる。先に進んで調べてみる。
調べると最終的には「知る」という結論に達しますが、
その為に「動く=先に進む」ことが重要なんです。
「疑問を持つ」ことは誰でもできますが、だいたいの人が
疑問を持っても調べない。調べる為に動くこともしません。
そこを行動に移すことが重要です。
ダンスや演技でもそうじゃないでしょうか。
「この動きはどうやったらできるの?」という動きも、
立って、踊って、やってみたら足の位置がここだから、
果てはこの瞬間、重心をここに持っていけばここに足を出しやすい、
等、行動すれば解るのです。
「あの人は天才だからできる」というのは諦めで思考が停止して
あとは終わるしかありません。
「疑問を持つ」ことは絵を描くために一番重要で、
特に僕がよく描いているメカ、ロボットは「描く」(仕事だから
当たり前なんですが)という行動でパーツ構成が解決することが
ほとんどで、描く前は「線の集合体」にしか見えず、
疑問だらけなんです。
複雑なデザイン画の物の場合、それを見て考えてしまい、
1日過ぎてしまう事もあります。笑
でも、描いてみたら解るんです。それを絵で動かす。
そして、描いた後でそのメカ、ロボットのプラモデルが出ていれば
必ず「答え合わせ」的に造り、キチンと「答え」を出すことに
しています。
自分なりにでも良い。まずは動いて、答えを出す、
ということが重要です。
先に述べたスマイル姫の衣装についてもそうで、
「この線はなに?この線の繋ぎはどうなっているの?」と
疑問を持てば、布の材質を「考え」「答えを出す」事になり、
先に進む=良いものになる、ということにつながります。
僕はアニメーターなので、デザインだけでなく、
「動き」に関しても疑問が湧きますが長くなるので
別の機会があれば語ります。笑
言っておきたいのは「その答えにも疑問を持つ」ことこそ重要だ、
ということです。
「なぜ香川県でうどんが作られているの?」等の疑問は調べると
「雨が少なく水はけの良い地形で小麦が取れ、瀬戸内海で"塩"、
小魚が取れるのでそれが"いりこ"になり、麺、だし、の両方が
狭い平野内で揃うので」と明確な答えが出せます。
が、ダンスや演技、絵は自分がやってみても、描いてみても
自分が出した答えが最適かがわからないのです。
ダンスや演技は鏡の前で踊ってみて、自分で修正、
最後は演出の指示に従う。
絵は何回も描く、他の人に見てもらう、修正をしてもらう、等です。
表現の世界は答えはありません。
が、その時、その時代の最適解を、その時、その時代の自分が出し、
未来の自分が疑問を持ち、その時代の自分が修正できるか。
「今の自分に疑問を持つ」。
それが「先に進む」ということなんでしょうね。
ただし、これらは表現の世界で生きる者としては
息を吸う事と同じように気が付かないうちにやっている、
やっていなければいけない事です。
今、最も疑問を持たなくてはいけない事は「先に進む為には
どうすればいいか?」ということです。
考えるだけでなく、行動しないといけませんが、今、世界の動きは
とてつもなく加速しているので行動できないで終わる。
出した答えはその瞬間に加速にあわせて変化していきます。
しかし、行動しないと「今の自分に疑問を持つ」ことはできません。
常に「今の自分が先に進む為にはどうすればいいか?」を先程述べた
その時、その時代の最適解をその時、その時代の自分が出し、
未来の自分が疑問を持ち、その時代の自分が修正できるか。
表現する世界で生き残る為に疑問を持ち、これら、
「夢を見続ける為の行動」をするのが最も重要だと思っています。
山下:疑問を持って行動するということは、
絵に限らず全てのことに言えますね。
頭で考えているだけだとどうしていいかわからなくても、
実際手を動かすと解決する、ということが音響でもあります。
正解のない問いに対して疑問を持ち続けることの大切さを
改めて教えていただいた気がします。
間路:そうですね。疑問は普段の生活の中でも必ず生じます。
例えば「駅のホームに立った時」。
絵描きはホームの構成や描き方、行き先表示の電光掲示板の形、
ホームのイスに座った年配のおばさまの体勢、
並んで立っている人たちの腕の力がぬけた時の手の表情。
疑問に思えなかったら、姿勢良く座っているおばさまを描いたり、
並んで立っている人全員が何故か手は握りこぶしで姿勢良く
モデルのような体勢で立っている様になります。
また、音響さんなら風の音や駅の環境音、人々が発する音、
遠くにいる列車の音が伝わってくる線路の響き、
そしてその場面に合う劇伴等、いくつ音を重ねるか。
役者さんなら人々一人ひとりの芝居に活かせる動き全般。
疑問はその一つひとつが自分の武器になる。
道端に転がっている石ころも興味が無い自分からしたら
風景の一つですが、研究者のような人には重要だったりしますから、
自分が好きではない作品でも好きな人はいるはずで、
石ころに疑問を持った人が調べる事によりその土地の成り立ちが
解るように、その人が良いと思った部分が、
興味がない自分にとって重要かもしれません。
そういう自分のテリトリー以外の部分も注目できるように
なりたいと思います。けど、先は長いですねぇ。笑
山下:ここまでインタビューにお答えいただきありがとうございます。
最後に観に来て下さる方へ一言お願いします。
間路:ここ数年、世界は静止しました。
再び動き出した世界で、近く、
「エンタメのビッグバン」が起こると思っています。
最も古い文化にあたる「演劇」と
生まれて100年ほどの最も新しい、ポップカルチャー(大衆文化)である
「アニメ」のキャラクター造形のやり方の融合であるこの作品は、
次のステップへの爆発の発端になるような
「いつもとはちょっと違う」新しい作品になっているような
気がします。
作品とは、それを楽しむお客様も含めて創り出す物だと思っています。
動き出した世界の中で、もしかしたら新しい時代への
小さな爆発かもしれない作品を創ってみませんか?
✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚
さくらさくらカンパニー
「イチタスイチのまほう〜海賊ジョイジョイの冒険〜」
日時↓
10月28日(土) 14:00 / 18:00
10月29日(日) 13:00 / 17:00 全4回
※受付開始1時間前、開場30分前
上演時間120分(途中休憩15分)
劇場↓
扇町ミュージアムキューブ CUBE03
★当日ロビーにて公演限定グッズ販売★
チケット↓
前売券 / 大人 3,500円 小学生 2,000円 親子割 5,000円
当日券 / 大人 4,000円 小学生 2,500円 親子割 6,000円
※親子割:大人1人+小学生1人
※未就学児はご入場できません
※ひられん割引 3,000円
※全席自由
パスマーケットにてチケット発売中
■出演■
葵かずき・大浦薫・久音まゆ・いわいりえ・嘉陽美樹
岩井努文・吉田拓矢・美月れい・鳥羽光・大塚芽依
月野原りん(声)・鉄茶(声)
■脚本・演出 中野圭子
■照明 後藤綾平
■音響 山下夏南
■イラストレーション 間路真実ノ介